改めて。 [保護犬フレブル<ハッチ>]
ハッチママさんからハッチの近況のお便りが来ました。
ハッチ、お利口さんで、皮膚の再発もなくてよかったぁ~
このまま、調子よく過ごせるといいねぇ~
さて、改めまして、
ハッチの件では、皆様に大変お世話になりました。
2010年、9月に保護したハッチ。
保護した時には、全身マラセチアで丸刈りにしました。
血管周皮腫もあり、
大学病院で腫瘍切除と転移を避けるため骨まで削る大手術を受けました。
傷口が良くなって10月からは、放射線治療を受けました。
1回目の治療を終えたハッチ。
放射線治療は6回行う予定でしたが、4回で終わる事が出来ました。
4回目を終えて、少しずつ毛が抜け始めてきました。
マラセチアの状態も随分良くなってきました。
さぁ~て、里親募集開始
と、思っていたら、皮膚の状態が悪化。
放射線治療の傷もハッチが舐めるので赤黒くただれてしまいました。
皮膚の状態は悪くなる一方~
ステロイドの量を調節すると良くなってくるけど
減らし始めると再発。
ホームドクターの元で治療をしてきましたが、6月大学病院へ~
検査の結果、アカラスと判明。
早速、治療を始め、どんどん良くなってきました。
7月、ハッピーとお昼寝中のハッチ。
10月、アカラス治療終了~
でも、まだ、痒みと赤みがある為、抗生剤、痒み止め(ステロイドではありません)の投与、シャンプーと消毒で様子を見ることに。
この治療で随分良くなったのですが、抗生剤を止めたらまたこんな風になってしまいました。
12/9の写真です。
すぐに抗生剤を再開、シャンプーと消毒を続けたら、
12/13にはこんなに綺麗に治ってきました。
ハッチの場合は慢性的な皮膚疾患があり、膿皮症によるトビヒの症状の可能性が高いと診断されました。
全身脂っぽくはないのですが、部分的に脂っぽい所があり、体格がいいので、痒い所に手が届いてしまったり、舐めてしまったりそれが一番の原因です。
暑い夏よりも、寒くなって縮まって寝る、秋~春までの間が要注意です。
我が家にいたほとんどの期間を病院通いしていたハッチ、
大手術にも耐え、放射線治療で毎回、全身麻酔も頑張りました。
ハッチは棄てられて辛い思いはしたけれど、とっても運のいい子だと思います。
血管周皮腫も出来る場所によっては、断脚しなくてはいけませんが、
腫瘍だけを取る事が出来ました。
放射線治療も、動物治療としては最高の治療を受けられる岐阜大学病院が近くにあり、人間と同じ、高度な放射線治療を受ける事が出来ました。
<放射線治療について>
しかし、動物においては費用などの問題から常電圧を利用するところもまだまだ多いです。
高電圧のメリットは、深くまで放射線が届くため、頭骸内、鼻腔内、胸腔内、腹腔内など深部の腫瘍にしっかりと攻撃できます。
また、放射線のエネルギーピークが体の表面でなく、当てた部位の2-3cm深い部分でピークを向かえるため皮膚表面や体表直下の骨などに障害を与えづらくなります。(といっても放射線障害はでるものはでちゃいますが)
それに対し、常電圧だとエネルギーが少ないためほとんどが体の表面で吸収され、手前に骨があるとそこにエネルギーが集中してしまい副作用をだしてしまいます。
常電圧でも確実に有効なのは皮膚の腫瘍か、論文である程度効果がみとめられている鼻腔内腫瘍など限られたものです。
そして、何よりこの常電圧は医療用でなく工業用のものを利用している関係上、お安く購入(といっても中古で数百万)できるのですが、近々改正される獣医療法では使用が禁止されるという話です。
それに引き換え高電圧は、その施設に放射線取扱主任者が一人いれば使用することは問題なく、どちらかというと、その治療機(ライナックまたはリニアック)と遮蔽のためのコンクリートで固めた建物のお値段が合わせて2-3億くらいは軽くいっちゃう値段がネックなのでなかなか一般の動物病院でもつのは難しい話なのです。
日本の動物病院で放射線治療をやっているところは、ほとんど集客目的か研究目的も含んでおり、純粋に利益をあげてるところは恐らくないでしょうね。
ちなみに放射線治療の1回あたりの値段は施設により異なりますが、おおよそ2-8万円と結構開きがあります(笑)
自由診療の動物病院ならではといったところでしょうか。
あとは施設により、専門的な業務のため、獣医師だけでは管理・運用はむずかしので放射線技師さんを雇っているところもいくつかあります。
そして具体的にどんな腫瘍に放射線は効くのか?
一般的に効果的といわれているのは、リンパ腫・可移植性器肉腫・肛門周囲腺腫・棘細胞性エナメル上皮種、ついで肥満細胞種や腺癌などなどです。
しかし、このほかの腫瘍でも腫瘍の場所などによっては放射線治療しか選択の余地がない場合が多く、基本的にどの腫瘍でも適応ということができます。
副作用は、一番は皮膚障害が一般的でひどいものは相当ただれて火傷のような状態になるものまでいます。
他にも照射部位により、目や粘膜、耳、脳・脊髄、膀胱などなどいろいろなところで正常組織が障害されて急性の症状をだすときがあります。
さらにはその急性症状をのりきったとしても、白内障や二次発癌などの晩発障害の恐れもでてきます。
よって放射線治療が終わってもしっかりとモニターしていかなければいけないのです。
副作用として悪いことはありますが、放射線の使い方を間違わなければ、腫瘍を治療するためにはかかせない重要な治療となってきます。
日本は人の医療分野でも欧米に比べて普及率や専門家の数が少ないのでなかなか難しい問題かもしれませんね。
ハッチの放射線治療の説明の時も、先生から上記と同じような説明を受けました。
ハッチの場合は、常電圧(オルソボルテージ)の方でもいいよ~と言われましたが、ネットで上記の説明を見て、高電圧(メガボルテージ)の方にしました。
副作用の心配と、工業用という所に違和感がそれと、これから里親を探すのに、やっぱり見た目の傷は最小限に抑えてあげたかったからです。
皮膚に関しても、アカラスの検査も何度もしましたが、大学病院でやっと発覚。
でも、根本的には、慢性皮膚炎がある為、今後も注意が必要です。
岐阜大学病院には、皮膚病治療で有名な先生がおられ、ハッチもその先生の治療を受ける事が出来ました。
ハッチの新しいお家も大学病院までは遠くないので、万が一、再発するような事があればまた、治療を受ける事が出来ます。
ハッチが我が家にいたのは1年と4か月
その間の医療費は、65万円程になりました。
ホントに全国から沢山の方に助けて頂きました。
ハッチの為に、募金を募ってくださった方、また、その募金に沢山の方が賛同してくださった事、ホントに感謝します。
その募金に協力してくださった方に、たまたま、ハッチのお散歩中に出会った事もありました。
あとから知ったので、その時にお礼が言えなかったのですが・・・
今ハッチがとっても幸せに、穏やかに暮らせていることは、ホントに皆様のおかげと
感謝しております。
改めて
ハッチへのご協力ありがとうございました
ハッチの皮膚病治療ですが、1/10に正式譲渡後、1/17の大学病院診察に里親様と一緒に行ってきました。皮膚の状態も良くなって痒みもなくなっていることから、治療も終了となりました。
コメント 0